夫が怖い

※過去の出来事を記憶に頼って書いていますので、日付はかなり適当です

梅雨入りした頃だったと思う。理由は忘れた。何か機嫌を損ねて、夫が大声をあげて、怒った。
次の瞬間、私の中でなにかがはじけて、私は泣き出した。夫の前でも子供の前でもこれまで、私は一度も泣いたことがなかった。それなのに、体をすくめて叫んでしまった。
「怖い!やめて!そんな大声で怒鳴らないで!怖いよ……!!」
本当に怖かった。

もちろん、夫は前とまったく変わっていない。でも、多分、私の中での夫の捉え方が、変わったのだろう。

手がガクガク震えた。体が冷たくなった。
そんな私を見て夫は不思議そうだった。多少気まずそうだったが。

初鰹の季節だった。まな板に乗った鰹を切ろうと、大きな出刃包丁を手にしていた時だった。その重さと、ひんやりした冷たさを感じ、良く切れそうな刃先を見つめていたら…自分が刃物の魔物に魅入られてしまいそうで、とても怖かった。

私は、おかしくなってしまったのだろうか。
急に泣いたりして。なにかやらかすんじゃないだろうか。
私は精神科や心療内科を検索した。でも夫が風俗で、なんていう話をそういう所でするのは違う気がした。そして、女性問題のカウンセリングを無料でしてくれる公的な団体を見つけた。
私は思い切って電話して、カウンセリングを申し込んだ。